こんにちは。2024年8月から翌年5月までの約1年間、アメリカ・ニューヨークのニューヨーク州立大学ストニーブルック校(Stony Brook University)に交換留学してきたこばやしです。
この記事を読んでいただいた皆さんに、留学してみたい!と思ってもらえるようにシリーズを書いています。また、これから留学することが決まっている皆さんの手助けにもなればと思っています。コメントや質問も大歓迎ですので、お気軽にどうぞ!
前回、前々回の記事では、アメリカの超格安SIM(Tello)や、超格安高速バス(OurBus)でのワシントンD.C.旅行について紹介しました。円安・物価高の中、賢く節約し、本当に価値のある経験にお金を使いたいですよね。
ニューヨーク留学を始めて4か月目の2024年11月。街も少しずつ肌寒くなり、生活や授業に慣れてきたことで、現地でできた友人との仲も深まってきました。
友人との時間が増えるにつれ、リスニング力やスピーキング力も一段と向上している実感があり、非常に充実した月でした。
11月の個人的ビッグニュースを並べるだけでも、我ながらに結構充実してますね!笑

今回はこの中から、僕の留学生活で最も印象深い体験の一つ、「ニューヨークシティマラソン」のボランティアについて詳しくご紹介します!
世界最大「ニューヨークシティマラソン」とは?
毎年11月の第1日曜日に開催される「ニューヨークシティマラソン(TCS New York City Marathon)」は、ロンドン、ボストン、シカゴ、ベルリン、そして東京と並ぶ「世界6大マラソン(World Marathon Majors)」の一つです。
その規模はまさに世界最大級。1970年の第1回大会は、参加者わずか127名、セントラル・パーク内を数周する地味なイベントでした。
1976年から、現在の「5つの区(Staten Island, Brooklyn, Queens, The Bronx, Manhattan)すべてを走る」という他に類を見ないコースが設定され、世界的な人気イベントへと発展しました。
私が参加した2024年の翌年、2025年大会では59,226人ものランナーが完走し、「史上最も完走者が多いマラソン大会」としてギネス世界記録に認定されています。

New York City Marathon 2024のコースマップ。ランナーはStaten Islandから出発して、Brooklyn、Queensを通り、Roosevelt Islandの上をかかるEd Koch Queensboro Bridgeを走ってManhattanに入ります。
私たちが担当するのは、マンハッタンからEast Riverを挟んですぐのところにある、Green Point, Brooklyn。地図上で赤矢印で示した部分。ルートの前半部分、30%走ったあたりです。
まさにニューヨークの街全体が主役となる、年に一度の巨大なお祭りなのです。
J1ビザ留学生とボランティア
「ランナーとして走ったの?」と思われるかもしれませんが、僕が参加したのは「給水所ボランティア」です。
ご存知の方も多いかもしれませんが、私のようなJ1ビザ(交換留学生)の学生は、アメリカでの「就労」が厳しく制限されています。キャンパス外で収入を得る活動は、原則として大学や政府の事前許可が必要です。
そんな中、大学のビザ部門から、「ビザの規定を心配することなく、ニューヨークの熱気を安全に体験できる公式な機会」として、このボランティアが紹介されました。
内容は医療スタッフや翻訳、コースの警備など多岐にわたりましたが、僕は一番気軽に参加できそうな「給水所」を選びました。
日本人の留学生Ryomaと、カザフスタン人のAlex、その他仲の良い留学生仲間と一緒に、同じ給水所のシフトを申し込むことにしました。
大学からマラソン会場へ電車を乗り継ぎ
ボランティア当日の朝は7時半に起床。実は当日の深夜に夏時間から冬時間への切り替えがあり、「1:59:59が1:00:00に戻る瞬間を見よう」と夜更かししていたため、少し寝不足気味でした。
大学のあるStony Brook駅から鉄道LIRRに乗り、約1時間45分でWoodside駅へ。そこから地下鉄MTAに乗り換え20分乗車。
集合までまだ時間があるので、少しまわりを散策してみようと、あと橋を渡れば会場!という、一駅手前で降りてみることにしました。

駅を出ると、そこはもうマラソンコースの目の前。もうマラソンはスタートしていて、続々とランナーが走り抜け、沿道には観客や楽器を演奏する人々が溢れています。時折、知人を見つけたのか、プラカードを見せて大歓声を送る人もいて、ものすごい熱気です。
雰囲気を満喫し、いざ橋を渡って会場入りしようとした瞬間、その橋の歩道が封鎖されていることが発覚。そう、その橋こそがマラソンのコースだったのです。
結局、来た道を駅まで戻り、たった1駅分だけ地下鉄に乗車。運賃2.9ドル(約400円)を余計に払って移動することになりました……。
ドリンク作りは、まるで「魔女の釜」
会場の受付テントでチェックインを済ませると、以下の3点が支給されました。
- イベントロゴが入ったオレンジ色のレインコート
- ニューバランス製「Volunteer」と書かれたニット帽
- ボランティア用のネックストラップ

これだけでもテンションが上がります。すぐに仕事が割り当てられ、ボランティア開始! ランナーに渡すドリンクは「水」とスポーツドリンク「Gatorade」の2種類。仕事は大きく3つの役割に分かれていました。
どの仕事も、次から次へとやってくるランナーに対応するために忙しく、想像以上に大変でした。
その中で一番面白かったのは、1.のドリンク調合です!

普通なら1か月は使い切るのにかかりそうな量の粉末を、巨大な缶から豪快にタンクに注ぎ込み、それを魔女が釜をかき混ぜるような大きな棒でグルグルと混ぜる作業は、非日常的で最高に楽しかったです。
ランナーへのコップの手渡しも、最初は「ランナーが受け取りやすい持ち方」を工夫するところから始まり、次第に「Hey! Good job!」「You got this!」と声をかける余裕も出てきました。ランナーから「Thank you!」と感謝されると、自分がこの世界的なイベントを支える一員になれた気がして、本当にやりがいがありました。
ボランティアの「ご褒美」
ボランティア開始から約2時間半、ランナーの波が途切れ、最後尾のパトカーや救急車が通り過ぎたところで僕たちの仕事は終了。最後には、ボランティア参加者だけがもらえる特製ピンバッジをいただきました。

ボランティアを終えたのは昼過ぎ。「働いた後はお腹が空く!」ということで、せっかくなのでマンハッタンに移動し、ご褒美として少しリッチな韓国BBQでお腹を満たしました。その後はAlexのリクエストで映画館に行き、「Venom: The Last Dance」を鑑賞。
ボランティアで街に貢献し、美味しいものを食べ、エンタメも楽しむ。これ以上ない、完璧なニューヨークの1日でした。大学の寮に帰った頃にはもう23時。イベント盛り沢山の一日が終わりました。
まとめ:留学は「観客」でいるより「参加者」になるほうが面白い
今回のニューヨークシティマラソンでのボランティア経験は、1年間の留学生活を振り返っても、ニューヨークという街と最も深く触れ合えた一日だったと思います。
そこには、何事も楽しみ、初対面でもフレンドリーに接するアメリカならではの空気がありました。一緒に参加した留学生仲間との共同作業も楽しかったですし、一つのことをやり遂げたことで、より一層仲が深まったと感じています。
留学生活は、寮や図書館にこもっているだけでは始まりません。観客席で眺めているだけでなく、自ら「参加者」として舞台裏に飛び込んでみる。
たったそれだけの「行動力」が、留学生活を何倍も豊かにしてくれます。この日もらったニット帽は、今でも僕の大切な宝物です。
もし11月上旬にニューヨークに滞在する機会があれば、ランナーとして走る…のもいいですが、ボランティアとして参加してみてはいかがでしょうか?
次回の記事もぜひお楽しみに!








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